お浚い会本番(演奏中)

山台に乗ります。
三味線を構えると、師匠から「ドントンテン,ドドドドド・・・を繰り返して。」の指示が。


ドントンテン,ドドド・・・ドド。
(撥がひっかかるっ!)

『せんせー撥・・・ひっかかるよ・・・。』
と、声にならないまま隣を見ると、「はい。ドントンテン,ドドドドド。」

ドントンテン,ドドドド・・・ド。

(涙)

師匠「ドドドドドド。」

ドドドドド・・・・。
(なんとかできたけど、すっごく不安)

「よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」

あああ!はじまる。
幕が開く直前、師匠が私の背中を軽くぽんっと叩いて、「頑張って!」と言ってくれた。
ふっと息が抜けて、『隣に師匠がいるんだ』という安心感に包まれる。
(それでも緊張はしてます)


幕が開くと、前の方の席に座っているお客様の顔が見えた。
「ハオー」チンチン(4の勘所)

チンチン(6の勘所)

音を消す

チンチンチン・・・って!やばっ入るの早かった!!

すると、隣から「早い。」と囁く声が。
左手が動きづらくて、動揺気味。

「早いよ。ゆっくり。」また隣から囁く声。
えええ!ノリが早いの?

ぼろぼろな独り弾きなんだろうなあ・・・と、前を向くことができず、ひたすらお囃子さんの前の床を見つめて演奏していた気がします。

なんとか独り弾きを終え、ほっとひと息。やっと前を見ることができました。
あ!お友だち発見。

その後もやっぱり指の動きがしづらくて、この後に控える(私にとっての)難所「蹴落とす子獅子は〜」からの部分が不安でたまらない。

こんなんでどうするんだろう?でも、やるしかないんだし!
そんなことを考えていました。

でも、そんなこと考えてる場合じゃなかったんだ・・・「蹴落とす子獅子は〜」の前の、清涼山の情景描写のところが、いちばん雰囲気を出すのが難しい場所だと私は思ってます。もちろん、今の私に清涼山の情景が思い浮かぶような演奏が出来るわけもないけれど、最初から「無理」とは思いたくない。伝える努力はしたい。

って、思ってたのに!そんなことすっかり頭の中から吹っ飛んでました。
先のことを考えてしまってた。

「蹴落とす子獅子は〜」から始まる替手の部分、案の定手が動かず、コケてしまった。
(後で録音を聴いたら、お囃子が入るので、そこまで目立ちはしなかったけれど、弾いてるときの私の心の内は“最悪!”)


本調子の替手が終わり、二上りの部分。
本調子の部分と打って変わって、胡蝶と獅子が戯れる、軽やかな部分。
他の三味線方さんたちよりも早く入ってしまう部分が所々あったりしたけれど、まずまず。
でも、師匠の「チンリンチンリン」の後に同じく「チンリンチンリン」師匠「チンリンチンリン」私「チリチリ」の部分が撥が引っかかってしまった・・・!

ダメージを受ける。

その後の替手の部分は、まあまあ。


そして二上りから本調子に戻して、「狂いの合方」へ。
私の流派では、「狂いの合方」に替手は入りません。
他の流派は、入るところが多いと思います。

なので、結構気が楽。ただ、下浚いの時もそうだったけれど、お稽古の時よりもスピードが速い!勘所を外さないように付いていくのに必死!!・・・ちゃんと撥が当たらないところがありました。

最後の「獅子団乱旋の舞楽のみぎん〜」の部分は、唯一楽しかったかも。
お稽古中もこの部分は心が熱くなる。

師匠から、「もっと当てて。」とずっと言われてきて、最近になって、どの部分をもっと当てなきゃいけないのかやっと分かった。

あー終わっちゃう。やっぱり、連獅子大好きだなあ。お囃子付きの舞台で弾けて良かったなあ。

そう思いながら、幕が閉まりました。