小さな気付き

名にし負はば いざこととはむ 都鳥
      わが思ふ人は ありやなしやと
                    (在原業平

向島にある、「言問」の名付けの元となったと言われている、在原業平の歌があります。

そして、長唄のひとつ「賤機帯」の一部分

名にし吾妻の角田川 その武蔵野と下総の
眺め隔てぬ春の色 桜に浮かぶ富士の雪
柳に沈む筑波山 紫匂う八重霞
錦をここに都鳥 古跡の渡なるらん

(カケリ 謡ヒガカリは略します)

笹の小笹の風厭ひ 花と愛でたる垂髫子が
人商人にさそはれて
行方いづくと白木綿の 神に祈りの道たづね
浮きてただよふ岸根の舟の
こがれこがれて いざ言問わん 我が思ひ子の 有りや無しやと


長唄名曲要説より)


こういう気付きって、嬉しい。



長唄名曲要説の、概説を見てみたところ、「錦をここに都鳥」は古今集の「見渡せば柳桜をこきまぜてぞ春のなりける」から取ったもの。

そして、「古跡の渡なるらん」は、在原業平伊勢物語に「名にし負はば〜」と詠んだ古跡の渡り場であるの意


と書いてあります。やはり、引用してるんだ。


今の時季、いろんな演奏会でかかってる曲ですね。